「退職したいけど、何から始めればいいか分からない」――そう感じている方は少なくありません。退職には意外と多くのステップがあり、流れを知らないまま進めると、後から慌てることもあります。この記事では、退職の決意から手続き完了までを順を追って整理しています。
退職の流れは「決める前」から始まっている
退職というと「上司に伝える日」がスタートだと思われがちですが、実はその前の段階がとても大切です。辞めたい気持ちが出てきたとき、いきなり行動に移すのではなく、まず自分の状況を整理しておくと、後の判断がしやすくなります。
具体的には、退職理由の整理・貯金の確認・転職活動のタイミングなど、事前に考えておきたいことがいくつかあります。「辞めたい」と「辞められる状態にある」は別の話なので、焦らず準備を進めていくのがおすすめです。
流れの全体像を先に知っておくだけでも、不安はかなり軽くなります。完璧に準備する必要はありませんが、見通しを持っておくことは大きな支えになります。
逆に、流れを知らないまま勢いで動いてしまうと、「有給を消化しそこねた」「必要な書類をもらい忘れた」といったことが起きやすくなります。後悔を減らすためにも、全体像の把握は最初の一歩として有効です。
ステップ1:退職を決意する前にやること
退職を決める前に確認しておきたいのは、就業規則の退職に関する規定です。「退職の何日前までに申し出が必要か」は会社ごとに異なりますので、まず確認しておきましょう。法律上は2週間前の申告で退職は可能ですが、円満に進めるなら1〜2ヶ月前が一般的です。
また、有給休暇の残日数や、ボーナスの支給時期なども確認しておくと安心です。辞めるタイミングによって受け取れる金額が変わることもあります。
転職先が決まっていない場合は、失業保険の受給条件も調べておくと良いかもしれません。退職後の生活に不安があると、決断そのものが揺らぎやすくなります。情報を集めておくだけでも、気持ちに余裕が生まれます。
なお、退職届と退職願の違いも、この段階で知っておくとスムーズです。退職願は「お願い」、退職届は「通知」という性質があり、提出するタイミングや効力が異なります。
ステップ2:退職の意思を伝える(誰に・どう伝えるか)
退職の意思は、まず直属の上司に口頭で伝えるのが基本です。いきなり人事部や社長に話すと、上司との関係がこじれることがあります。伝える場所は、できれば会議室など二人きりになれる場所が望ましいです。
伝え方としては、「相談があるのですが」と切り出し、退職の意思を簡潔に伝えます。理由を細かく説明する義務はありませんが、「一身上の都合」で通すか、ある程度伝えるかは状況に応じて判断してください。
引き止められることもありますが、意思が固まっているなら、無理に説得に応じる必要はありません。言い出しにくいと感じている方は、退職の引き止め対策・怖くて言い出せない人へも参考にしてみてください。
ステップ3:退職日・有給消化・引継ぎを決める
上司に退職の意思を伝えたら、次は退職日の調整です。会社側と相談しながら、最終出社日と退職日を決めていきます。有給休暇が残っている場合は、最終出社日以降に消化するケースが多いです。
有給消化については、労働者の権利として認められていますが、実際にスムーズに取れるかどうかは職場の雰囲気にもよります。詳しくは退職時の有給消化は「権利」だけど、使い方には順番があるで整理していますので、気になる方はご覧ください。
引継ぎについては、後任者が決まっていなくても、業務内容をドキュメントにまとめておくだけで十分なケースもあります。完璧な引継ぎを求められすぎて退職日がずるずる延びることもあるため、ある程度の線引きは必要です。
ステップ4:退職届の提出
退職届は、退職日が確定してから提出するのが一般的です。会社指定のフォーマットがある場合はそれに従い、なければ手書きでもパソコン作成でも問題ありません。
退職届に書く内容は、退職日・提出日・「一身上の都合により退職いたします」という文言・署名が基本です。退職理由を詳しく書く必要はありません。
提出先は直属の上司か人事部が一般的ですが、会社の指示に従ってください。提出後にコピーを手元に残しておくと、万が一のトラブル時にも安心です。
なお、退職届を受け取ってもらえないというケースもまれにありますが、内容証明郵便で送付するという方法もあります。どうしても受理されない場合は、労働基準監督署に相談することも選択肢のひとつです。
ステップ5:退職当日とその後の手続き
最終出社日には、社員証・健康保険証・会社支給の備品などを返却します。逆に、離職票・源泉徴収票・年金手帳などは会社から受け取る必要があります。退職後に届く書類もありますので、届かない場合は会社に確認しましょう。
退職後の手続きとしては、健康保険の切り替え・年金の切り替え・ハローワークでの手続きなどがあります。転職先が決まっている場合は手続きが簡略化されることもあります。
退職後の手続きには期限が設けられているものもあります。たとえば、国民健康保険への切り替えは退職日から14日以内が原則です。後回しにすると手続きが煩雑になることもあるため、退職前にやることリストを作っておくと便利です。
退職後の手続きについては、退職後の手続きと届く書類を整理するで詳しくまとめていますので、あわせて確認しておくと安心です。
退職代行を使う場合の流れの違い
ここまで紹介した流れは、自分で退職手続きを進めるケースです。ただ、「上司に直接伝えるのがどうしても難しい」「職場の状況的に自分では言い出せない」という方もいます。
そういった場合、退職代行サービスを利用するという選択肢もあります。退職代行を使うと、会社への連絡・退職届の提出・有給消化の交渉などを代わりに進めてもらえるため、自分で直接やり取りする必要がなくなります。
利用するかどうかは個人の状況次第ですし、必ずしも全員に必要なものではありません。ただ、精神的に追い詰められている状態で無理に自分で進めようとするよりは、誰かの力を借りるのもひとつの方法です。「使うかどうか迷っている」という段階でも、まずは相談だけしてみるのもいいかもしれません。
まとめ
退職の流れは、大きく分けると「準備→意思表示→調整→届出→退職後の手続き」という順番で進みます。全部を一度に片付ける必要はなく、ひとつずつ進めていけば大丈夫です。
流れを知っているだけでも、「次に何をすればいいか」が見えるので、不安はだいぶ和らぎます。今すぐ動けなくても、この記事をブックマークしておくだけで、いざというときの助けになるはずです。
どんな形であれ、自分の働き方を見直すこと自体は、悪いことではありません。
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